「貴船」に佇む貴船神社は、清々しい緑に囲まれた古社。足元から湧き出てくる大自然からの力強いパワーを感じます。
「きふね」は古くから気の生ずる根源として「氣生根(きぶね)」と記され、御神気に触れることで気が満ちるとされてきた有数のパワースポットです。
四季折々の美しい景色を求めて山深いこの地にたくさんの参詣者が訪れるのもわかりますね。
大鳥居から本宮に向かう87段ある参道の石段の両側には、朱色の灯ろうがきれいに並んでいます。明かりがともると幻想的でまた格別です。
人気のパワースポットとして雑誌などにもよく取り上げられますが、実際この地に立つとより一層神秘的で心穏やかな気持ちになります。
秋の紅葉やライトアップ、冬の雪景色、夏場の川床など四季折々で違った表情を見せてくれる素敵な神社です。
筆者の訪れた時は、雨上がりの夕方。水の神様が住む場所であるがゆえに新緑から降りそそぐパワーを感じこの空間がとても貴重なものに感じました。
是非一度足を運んで欲しい場所の一つです。
▲貴船神社二の鳥居です。
貴船神社はどんな神社?
ここ『貴船神社』全国に約500社ある貴船神社の総本社です。鴨川の源流に鎮座し、京都の水源をつかさどる神様として昔から大切にされています。
創建を明記するものがないため始まりは不詳ですが、約1300年前にはすでに社殿造替の記録があることから、日本でも指折りの古社に数えられます。
石段の参道の両側に灯篭が連なるスポットは幻想的な雰囲気でインスタ映えするスポットとしても有名です。
また、春の新緑と青紅葉、夏の納涼と七夕、秋の紅葉、冬の雪景色などと季節によって違った景色を見せてくれるのでいつ訪れても魅力的です。
今回はそんな見どころ満載の貴船神社についてご紹介します!
ご由緒
貴船神社の創建を明記するものは残っていないため創建の年代は不詳ですが天武天皇の御代(約1300年前)にはすでに御社殿造替が行われたとの社伝が存在することから、創建は極めて古いと考えられます。
起源
貴船神社の起源については、貴船大神が御鎮座することになった伝説が社記に残されています。「国家安穏 万民守護のため 太古 丑の年の丑の月の丑の日に、天上より貴船山中中腹 鏡岩に天降れり」とあり、現在丑の日が縁日とされている所以でもあります。
また別の伝説には、約一六〇〇年前に初代神武天皇の皇母である玉依姫命が「吾は皇母玉依姫なり。恒に雨風を司り以て國を潤し土を養う。また黎民(れいみん)の諸願には福運を蒙(こうむ)らしむ。よって吾が船の止まる処に祠(ほこら)を造るべし」と宣り給い、現在の大阪湾から船に乗り、淀川、鴨川、貴船川を遡り、水源の地として現在の奥宮に至りました。
清水の湧き出る霊境吹井(れいきょうふきい)を見つけた玉依姫がここにひとつの祠を建てたのが、貴船神社の起源と伝えられています。
「貴船=きふね=氣生根」貴船神社に祀られる神様
ご祭神
【本宮・奥宮】タカオカミノカミ(高龗神)=水を司る龍神
【結社(ゆいのやしろ、中宮)】イワナガヒメノミコト(磐長姫命)=コノハナサクヤヒメノミコト(木花開耶姫命)の姉
奥宮には、一説にはクラオカミノカミとタマヨリヒメノミコト(玉依姫命)も合祀されるといわれ、これらのご祭神が「貴船大神」「貴船明神」と総称されています。
タマヨリヒメノミコトは神武天皇の母。「黄船」に乗り、大阪湾から淀川・鴨川を遡り、源流である貴船川の上流に至り、この地に祠を建て水神を奉った、という創建伝説が伝えられています。
三社詣―本宮・奥宮・結社(ゆいのやしろ)
清らかで美しい貴船の景色を楽しみながら本宮、奥宮、結社をゆっくりと参拝し、神聖なパワーを授かりましょう。
この3社をお詣りすることを「三社詣(さんしゃまいり)」といいます。
正式なルートは「本宮→奥宮→結社」の順番で参拝することです。
上の案内図をご覧いただくとわかるように、二の鳥居をくぐったところに鎮座するのが本宮です。
その後、奥宮を通り過ぎ結社をお詣りして、その後結社にもどってお詣りする。というのが正式とされているのです。
それでは、本宮よりご案内いたしましょう!
本宮
創建の地である奥宮が洪水で流損したため、天喜三年(1055年)現在の地に本宮が移されました。
社殿前の石垣からこんこんと溢れる御神水は貴船山の湧き水で、霊泉に浮かべると文字が浮かぶ「水占みくじ」が有名です。
こんこんと湧き出る神水で“水占みくじ”
水占いと呼ばれる神社にあるご神水に浮かべると文字が浮き出てくるおみくじです。
この水源の神はあらゆることを見通せるので、水占みくじはよく当たるとよく言われているそうですよ。
水占みくじに記載されているQRコードをスマートフォンなどで読み込むと、英語、中国語の簡体字と繁体字、韓国語からご希望の言語による翻訳を表示できます。
また神社の本宮境内はWi-Fiが完備されてます。
絵馬発祥の地
というのもかつて日照りや長雨が続くと、朝廷は水を司る神様を祀る貴船神社に勅使を派遣していました。
雨が降るのをお願いする時は「黒馬」を、雨が止むのを祈願するときには「白馬」を奉納ししていたそうです。実際に生きた馬を献上していたというから驚きです。
しかし、平安時代には儀式が簡素化され、板に馬の絵を描いた「板立馬」が奉納されるようになりました。
これが現在の「絵馬」の原型になったのだという事です。絵馬発祥の地で『絵馬』を奉納すれば、さらに願い事が叶いそうですね。
思ひ川
本宮から北に向かって進むと奥宮の手前に「思ひ川」と呼ばれる小川があります。
奥宮が本社であった頃、参拝者はこの小川で身を清めてから参拝したといいます。和泉式部もここで身を清めたのでしょうか?
この小川は禊(みそぎ)の川、物忌(もみいみ)の川だったのですが、和泉式部の恋の話と重なって、いつの頃からか「思ひ川」と言われるようになったとされています。
「思ひ川」を越え、更に北側に進むと杉の老木が立ち並んでいる「参道」(左の写真)が貴船神社の「奥宮」まで続きます。ますます厳粛な雰囲気が漂ってきますよ。
奥宮
本宮から約15分歩いたところに奥宮が鎮座してます。
参道を進み杉木立の間をぬけると、朱塗りの奥宮「楼門」に行き着きます。
楼門の内側が貴船神社の「奥宮」です。
ここは貴船神社創建の地であり森に囲まれた神聖な場所です。
▲本殿
船形石
奥宮「本殿」の西南側に船の形にあります。
玉依姫がこの地にきた時に、乗ってきたといわれている黄色い船を人目に触れないように石で囲ったと伝えられてます。のがこの船形石と伝えられているます。
いまでも航海する際、安全祈願のため、ここの小石を拾って持っていく人が多いそうです。
氣が噴き出す龍穴
奥宮本殿の真下には巨大な「龍穴」と言われる大きな穴が空いています。
この龍穴は、「日本三大龍穴」のひとつで、特に神聖で強大な力を噴出するパワースポットとされています。
龍穴は人目を避けるべき神聖なものとされ、直接人の目で見ることは禁じられています。
貴船神社(京都府)・ 室生龍穴神社(奈良県)・ 備前龍穴(岡山県)
奥宮から結社に向かう参道の途中には、樹齢1000年を超える杉の木がそびえています。
この杉の木は2本の杉が同じ根から生えて1つになっているため、「相性」の語呂合わせ「相老」に通じ、夫婦共に長生きの意味になります。
縁結びの御利益と合わせて、末永い良い出会いがあると良いですね。
結社
貴船神社は、古来、恋を祈る社でもありました。
・・・神武天皇の曾祖父にあたるニニギノミコトがコノハナサクヤヒメを娶る際、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメの父親は、姉妹ともに嫁ぐことを申し出ました。が、ニニギノミコトは醜い容姿のイワナガヒメを送り返してしまい、イワナガヒメはそれを恥じて、「このような悲しみは私だけにし、人々に良縁を授けよう」とこの地に鎮座されました・・・
平安時代にはすでに縁結びの神様として信仰されていたそうです。
平安時代の有名な女流歌人の和泉式部は、夫との仲がうまくいかなくなって貴船神社にお参りし、貴船川に飛ぶ蛍を見て、切ない心情を歌に託して祈願しました。
すると、社殿の中から慰めの返歌が聞こえてきて、ほどなく願いがかなえられ、夫婦仲がもとのように円満になったと言い伝えられています。
▼その時の心情を読んだ歌が記されている歌碑です。
かつては細長い葉を玉垣に結びつけ縁結びを願ったそうですが、現在では、その習わしの形が変わり、細長い緑色の「結び文」に願い事をしたためて「結び処」に結んで祈ることで、願いが叶うと信じられています。
恋愛だけでなく、人と人、会社と会社、就職、進学など様々な縁を良き方向に導いてくださるそうですよ。しっかりお願いしなくては。。。
そのため貴船神社は縁結びで有名な島根県の出雲大社、石川県の氣多大社などと並ぶ、とても強力な縁結びのパワースポットでもあるので、毎年多くの御縁を求めて人々が参拝しています。